Monthly Column マンスリーコラム

2024年5月号

キャリアの未来へ:大学生に贈るプロティアンキャリアの提案

はじめに

ホームページのリニューアルに伴って第1回のコラムを担当します松舘です。私はキャリアコンサルタントとして、小学生から70代の方まで幅広い年齢層を対象に支援してきました。異なる年齢層や環境においても、一貫してキャリアコンサルタントの仕事を続けてきた経験が私の強みだと思っています。現在は、高校生から大学生、大学院生、留学生、海外でのボランティア経験をされた方々など、多様な立場の方の支援をしています。

今回は、13年以上関わっている大学生を対象としたコラムを執筆いたしましたが、保護者の皆様や社会人の方々にも通じる内容ではないかと思います。最後までお読みいただければ幸いです。

プロティアンキャリアの考え方が必要な理由

大学生の皆さん、キャリアについて真剣に考えたことはありますか?今回は「プロティアンキャリア」という考え方に焦点を当て、自身のキャリアについて具体的に考えるきっかけを提供したいと思います。

プロティアンキャリアとは、アメリカのキャリア研究家であるダグラス・ホール氏が提唱した概念です。複数の職種や業界を経験し、自己成長を促進する考え方で、カメレオンのように変化に適応し、様々な経験やスキルを活かしてキャリアを築くことを指します。プロティアンキャリアでは、積極的に新しいことに挑戦し、自己成長を続けることが重要と考え、単一の職種や業界にとらわれず多様な経験やスキルを活かしてキャリアを構築するアプローチです。

なぜ今、プロティアンキャリアの考え方が重要なのでしょうか。それは以下のようなことが背景にあります。

1、労働市場の変化

近年、労働市場は急速に変化しています。技術革新やグローバル化の進展により、従来の職種が減少し、新たな職種が生まれています。単一の職業や業界にこだわらず、多様な経験やスキルを活かしてキャリアを築くことが求められています。

2、キャリアの不確実性

現代では、一生涯にわたって同じ職業や組織で働くという概念が変化しています。技術の進歩や経済の変動により、職場の状況や求人市場が常に変化しています。そのため、プロティアンキャリアの考え方は、キャリアの不確実性に対処するための有効な手段となっています。

3、個々の成長と満足度

プロティアンキャリアは、個々の成長と満足度を重視するアプローチです。自己の興味や能力に応じてキャリアを構築することで、より充実した人生を送ることができます。個々の成長と満足度を追求するためには、プロティアンキャリアの考え方が参考になります。

4、ライフステージの多様化

現代では、人々のライフステージが多様化しています。結婚や出産、育児など、生活の中でさまざまなライフイベントが発生します。プロティアンキャリアのアプローチは、ライフステージの変化に合わせてキャリアを調整し、バランスの取れた生活を実現するための手段として有効です。

大学生の今だから挑戦してもらいたいこと

プロティアンキャリアを築くために、大学生の皆様には次のことを行なっていただくことが特に重要だと考えています。

1、自己探求と挑戦

大学生活は自己探求と挑戦の場でもあります。新しいことにチャレンジし、失敗や挫折から学ぶことも多いです。自分自身と向き合いながら、自己の興味や関心を明確化し、自己理解を深めることが重要です。様々な授業や活動に参加し、自分が何に興味を持ち、何に才能を感じるのかを探求してください。

2、多様な経験の積み重ね

プロティアンキャリアを築くためには、様々な経験を積むことが重要です。大学生は、インターンシップやボランティア活動などを通じて、実際の仕事や社会活動に参加し、自己の興味や適性を評価する機会を得ることができます。異なる業界や組織での経験を通じて、自己の可能性を広げることができます。

3、キャリア支援サービスの活用

大学には、キャリア支援サービスが提供されています。キャリアカウンセリングやキャリア教育プログラムを活用し、自己の興味や能力を見つけ、将来のキャリアに向けた計画を立てる手助けを受けましょう。また、キャリアフェアや企業説明会などのイベントに参加して、業界や職種についての知識を深めることも有益です。

4、目標設定と行動計画の策定

プロティアンキャリアを実践する上では、自己分析と目標設定が欠かせません。自己の興味や価値観、能力を理解し、将来のキャリアに向けて明確な目標を設定しましょう。目標を持つことで、自己の方向性を明確にし、効果的な行動計画を立てることができます。

まとめ

皆さんは受験勉強を経て大学生になり、机上で考えることが習慣化されてきました。しかし実際に行動して初めて、自分が何に興味を持つのか、どんなことにやりがいや面白さを感じるのかに気が付くこともあります。そういった経験の中から職業理解や自己理解を深めていって欲しいと思っています。まずは行動してみることから始めませんか。その先に豊かな人生が繋がっていくと期待しています。

そして保護者の皆様や、新入社員を受け入れる企業の皆様にとっても、社会の変化に対応しながら、今まで見たことのない社会に順応していかなければならない子供たちを、広い視野を持って育ててくださることを期待しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

理事長 松舘敦子
松舘 敦子

資格
2級キャリアコンサルティング技能士
認定心理士
産業カウンセラー
交流分析士インストラクター
モチベーションマネジャー
アスリートキャリアコーディネーター